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診療内容

こどもの病気のお話

病気の説明だけでなく、治療や検査などに関する当院の考え方などについても触れています。少しずつ病気の種類を増やし、新しい知見も加えていこうと思っています。

インフルエンザについて

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。
一般的な「風邪」に比べて症状が強く、特にお子様の場合は、肺炎や脳症などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

インフルエンザの症状と特徴

通常1〜4日の潜伏期間を経て、以下のような症状が急激に現れます。

  • 全身症状: 38度以上の高熱倦怠感(だるさ)、筋肉痛関節痛
  • 呼吸器症状鼻水喉の痛み
  • 消化器症状: お子様では下痢や嘔吐などの胃腸症状を伴うことも多いのが特徴です。
注意すべきインフルエンザの合併症(緊急受診のサイン)

特に注意が必要なのが「インフルエンザ脳症」です。発熱後数時間から1日以内に進行することが多いです。
以下のような様子が見られたら、すぐに医療機関を受診してください。

  • 意識がはっきりしない、呼びかけに反応しない。
  • 意味不明な言動、幻視・幻聴(変なものが見える、聞こえる)、異常に怯える。
  • けいれんが止まらない、または繰り返す。
  • 呼吸が苦しそう、顔色が悪い(チアノーゼ)。
インフルエンザの診断と治療
  1. 検査
    鼻の粘膜を拭う迅速検査が一般的ですが、発症後すぐ(概ね12時間未満)はウイルス量が少なく、陽性と出ない場合があります。ただし、流行状況・症状・診察結果から『みなし陽性』として、迅速検査を行わずとも下記の治療の検討も可能です。
  2. 治療
    抗インフルエンザウイルス薬(タミフルゾフルーザ等)は、発症から48時間以内に服用することで、発熱期間を短縮し重症化を抑える効果があります。各ガイドラインを踏まえて、年齢ごとに推奨される治療薬を選択します。
  3. 注意
    市販の解熱剤の中には、インフルエンザに使用すると重い副作用(ライ症候群等)を引き起こす成分(アスピリンなど)があります。必ず医師から処方されたアセトアミノフェン系の解熱剤を使用してください。
インフルエンザのホームケアと予防
  • ホームケア: 安静を保ち、こまめな水分補給(経口補水液など)を心がけてください。室内は湿度50〜60%を目標に維持しつつ、適宜換気を行いましょう。
  • 予防: 最も有効なのは流行前の予防接種です。ワクチン接種により重症化を防ぐ効果が期待できます。
登園・登校の基準

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学校保健安全法により、以下の両方の期間を満たすまで出席停止と定められています。

  • 発症した後5日を経過していること
  • 解熱した後2日(幼児は3日)を経過していること

感染性胃腸炎(ウイルス性嘔吐下痢症)

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が胃腸に感染して起こる病気です。
一般的に「おなかの風邪」とも呼ばれ、お子様がかかりやすい代表的な疾患の一つです。
冬場はノロウイルスやロタウイルス、夏場は細菌による感染が増える傾向にあります。

感染性胃腸炎の主な症状

主な症状は、吐き気・嘔吐、下痢、腹痛、発熱です。

  • 嘔吐: 突然始まり、数時間から1日程度激しく続くことが多いです。
  • 下痢: 嘔吐が落ち着いた後、水のような下痢が数日から1週間ほど続くことがあります。
  • 発熱: 38度前後の熱が出ることがありますが、多くは1〜2日で解熱します。
家庭でのケアのポイント(脱水予防)

最も大切なのは、脱水症状を防ぐための「水分補給」です。

  • 飲ませ方のコツ: 吐き気が強い時は、一度にたくさん飲ませると刺激でまた吐いてしまいます。まずはスプーン1杯やペットボトルのキャップ1杯分(5〜10ml程度)を、5分〜10分おきに少量ずつ繰り返し与えてください。
  • 飲み物の種類: 水分と塩分・糖分がバランスよく含まれた「経口補水液(OS-1など)」が最適です。
  • 食事: 吐き気が落ち着いたら、うどん、おかゆ、スープなど、消化の良いものを少しずつ始めましょう。
早めに受診すべきサイン

以下のような「脱水症状」が見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。

  • ぐったりして元気がない、意識がうとうとしている。
  • おしっこの回数や量が極端に少ない(半日以上出ない)。
  • 目がくぼんでいる、口の中がカラカラに乾いている。
  • 激しい腹痛が続く、または血便が出た。
感染性胃腸炎の治療と薬について

ウイルスが原因の場合、根本的な治療薬(抗ウイルス薬)はありません。
自分の免疫力でウイルスを排出するのを助ける「対症療法」が治療の基本です。

  • 下痢止め: 下痢は体内のウイルスを外に出そうとする防御反応です。無理に止めると回復が遅れることがあるため、原則的に下痢止めは使用しません。
  • 吐き気止め:嘔吐が激しく水分補給が困難な際に使用します。座薬や飲み薬があります。使用後は吐き気が落ち着くのを待ち、少量ずつ水分を与え脱水を防ぐことが重要です。
  • 整腸剤: 腸内環境を整えるために処方されることがあります。
二次感染を防ぐために

感染力が非常に強いため、ご家族への感染予防が重要です。

  • 手洗い: 帰宅時やトイレの後、おむつ替えの後は石鹸でしっかり手を洗ってください。
  • 消毒: ノロウイルスにはアルコール消毒が効きにくいため、吐物や便の処理には次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤を薄めたもの)を使用してください。
  • 予防接種: ロタウイルスについてはワクチンで重症化を防ぐことができます。
登園・登校の目安

学校保健安全法では明確な停止期間は定められていませんが、「嘔吐や下痢が治まり、普段通りの食事が摂れるようになっていること」が再開の目安です。周囲への感染力は症状が落ち着いた後も数日間(便からは1〜2週間以上)続くため、登園後も手洗いを徹底しましょう

 

熱性痙攣

高熱に対する中枢神経系の抵抗性が低い体質の方がおられ、突発性発疹などの発熱性疾患の際に短時間 (ほとんどは5分以内)の痙攣を起こしますが、多くは4~5歳までに起こさなくなります。 痙攣を繰り返す方もおられますが、初回のみ、あるいは2~3回のみの方が多く、 また、ひとつの発熱のエピソード中に何度も痙攣を起こすことは稀です。 したがって頻回に痙攣を起こす方以外には、発熱時に早めに解熱剤や痙攣予防の座薬を使用することはお勧めしていません。 痙攣を繰り返す場合、長時間持続する、痙攣に左右差や痙攣後に麻痺が残る場合などは脳波やMRI検査などが必要となる場合があります。

 

RSウイルス感染症

晩秋から冬季に流行する呼吸器感染症です。あまり知られてはいませんが、乳児期には注意が必要な疾患です。 喘鳴を伴う咳、鼻汁が強くなり、哺乳困難や喘息のような呼吸困難を起こすこともあります。 このため酸素吸入や輸液などを施すこともあり、入院加療が必要になるお子さんもおられます。 RSウイルスそのものに対する有効な治療法はなく、一般的な治療は外来での吸入療法や気管支喘息に準じた治療です。 ただし、著しい早産や低出生体重児、心臓に重い障害を持つお子さんなどには、 流行期の前にこのウイルスに対する抗体を注射することで、重症化を防げることがあります。

 

食物アレルギー

食物アレルギーとは、特定の食べ物に含まれるタンパク質に対して、体の免疫系が過剰に反応し、じんましん、咳、腹痛などの症状が引き起こされる状態を指します。近年、診断や治療の考え方が大きく進歩しており、「正しく診断し、必要最小限の除去を行う」ことが現在の標準的な管理方針となっています。

食物アレルギーの主な症状とアナフィラキシー

症状は食べてから数分〜1時間以内に現れることが多く、その内容は多岐にわたります。

  • 皮膚症状: じんましん、赤み、かゆみ(最も頻度が高い)
  • 呼吸器症状: 咳、ゼーゼーする(喘鳴)、鼻水、声のかすれ
  • 消化器症状: 激しい腹痛、嘔吐、下痢

アナフィラキシー: 複数の臓器に強い症状が現れる重症な状態で、血圧低下や意識障害を伴う「アナフィラキシーショック」は命に関わるため、一刻も早い対応が必要です。

正確な診断の重要性

❶特異的IgE抗体検査とは
保険診療で実施可能な検査です(=自費診療ではありません)。
採血により、卵や牛乳など特定の食べ物に対するアレルギー反応の可能性を調べる検査です。
結果は「class 0〜6」の値で示されますが、「数値が高い=重症」とは限りません。
この検査で分かるのは、体が反応する準備をしている「感作」という状態であり、必ずしも「その食べ物を食べて症状が出る」とは限りません。
実際に食べて症状が出るかどうかは、問診や負荷試験と合わせて総合的に判断します。数値だけで自己判断し、過度な食事制限を行うことは、お子様の成長を損なう恐れがあります。

❷どんなお子さんが血液検査対象となる?
この検査は、単に「アレルギーが心配だから」と全項目を調べるものではなく、「症状やリスクがある場合」に適切に行うことが大切です。
主に対象となるのは、以下のようなお子様です。

 1)特定の食べ物を口にした後、症状が出た:「卵を食べた後にじんましんが出た」「牛乳を飲んだら顔が赤くなった」など、特定の食べ物との因果関係が疑われる場合です。原因を特定し、今後の除去の必要性を判断するために検査を行います。

 2)なかなか治らない湿疹(乳児湿疹)がある:生後間もなくから湿疹がひどく、スキンケアや塗り薬を続けても良くならない場合、食物アレルギーの可能性があります。皮膚のバリア機能が低下していると、そこからアレルゲンが入り込んでアレルギーを発症しやすいため、早めの確認が推奨されます。

 3)離乳食を進める上で、医師が必要と判断:ご兄弟に強いアレルギーがあるなど、個別の事情により慎重に進める必要があるケースです。ただし、基本的には「まずは少し食べてみる」ことが優先されるため、必ず事前にご相談ください。

❸食物経口負荷試験
実際に疑わしい食品を食べて症状の有無を確認する、最も確実な診断法です。この結果に基づき、「どの程度までなら安全に食べられるか」を判定します。

❹成長とともに「診断」は変わります

小児期のアレルギーは、成長とともに変化します。

  • 乳幼児期: 卵や牛乳のアレルギーが多いですが、成長とともに多くの子が克服(耐性獲得)していきます。
  • 学童期以降: 逆に、特定の果物やそば、ピーナッツなど、後から現れるアレルギーもあります。

そのため、一度の検査結果を一生のものと思わず、定期的に「今の状態」を評価し直すことが大切です。

 
治療と管理の考え方:必要最小限の除去

以前は「完全除去」が一般的でしたが、現在は「症状が出ない範囲で、食べられるものは食べる」という「必要最小限の除去」が基本です。少しずつ摂取することで、体が慣れて食べられるようになる(耐性獲得)を早める効果が期待されています。

スキンケアと発症予防

近年の研究で、食物アレルギーは「食べる」ことよりも、荒れた「皮膚」からアレルゲンが入ることで発症(経皮感作)することが分かってきました。特に乳児期の湿疹やアトピー性皮膚炎を適切に治療し、肌のバリア機能を保つことが、食物アレルギーの予防において極めて重要です。

緊急時の備えと学校・保育所との連携

万が一、誤食により強い症状が出た場合に備え、内服薬やアドレナリン自己注射薬(エピペン)の処方・指導を行います。
また、集団生活においては「生活管理指導表」を通じて、学校や保育所と正確な情報を共有することが不可欠です。当院では、診断に基づいた適切な書類作成を行い、お子様が安全に過ごせるようサポートいたします。

最後に

食物アレルギーは、成長とともに多くのお子様が克服できる病気です。「何が食べられないか」ではなく「どうすれば安全に食べられるようになるか」を一緒に考えていきましょう。

アトピー性皮膚炎

小児科に来られるお子さんには、3~6か月ごろから発症し、1歳から1.5歳くらいで軽快するタイプと、 その後まで長期に持続するタイプがあります。前者は頻度が高く、食餌抗原が関与していることがあり、 腸管の成熟とともに軽快するタイプですので、食餌抗原除去が有効な場合があります。 ただし、自然に軽快していく傾向がありますので、過度かつ長期の抗原除去(食餌療法)は勧められません。 後者は頻度は低いですが、難治性のことが多く、なかなかオールマイティな治療法がないため、長期化する傾向があります。 その子の状態にあったスキンケア(ステロイド剤の適切な使用。保湿剤の併用など)を一緒に考えてゆきます。

抗生剤について

抗生物質の適正使用を実践しています。

当クリニックでは、厚生労働省健康局結核感染症課が発行する「抗微生物薬適正使用の手引き」を参考に、抗生物質の適正使用を実践しています。

特に小児の「かぜ」や「急性胃腸炎」は、多くがウイルス感染によるものであり、抗生物質は細菌には有効ですが、ウイルスには全く効果がありません。それどころか、腸内の善玉菌まで減らしてしまう可能性があり、乱用は耐性菌の増加を招き、将来いざという時に薬が効かなくなる危険性もあります。そのため、必要な場合を除き、抗生物質の処方は極力行いません。

「急性中耳炎」はガイドラインに準じて重症度を評価し薬剤選択を行います。

抗生物質が効かないケース

 ❶ 「かぜ」の90%以上はウイルス感染

ウイルス感染の場合、多くは3〜4日で解熱し、症状も自然に改善していきます。この間は十分な栄養と水分を摂り、安静に過ごすことが大切です。下痢が強い場合は脱水の恐れがあるため、糖分・塩分を含んだ水分補給が重要です。一方で、以下のような症状がある場合には、細菌感染や重症化の可能性があるため、受診を推奨します。

  • 38℃以上の発熱が5日以上続く場合
  • 咳が強く夜も眠れない場合
  • 水分摂取できない、またはすぐ吐いてしまう場合
  • 6時間以上排尿がない場合、など

現在では「風邪に抗生物質は効かない」という事実は広く知られるようになりました。私たち小児科医も、以前から不要な抗生物質の投与を避ける努力を重ねてきました。これは安易な処方が耐性菌の増加を促すためであり、社会全体の感染症治療に深刻な影響を及ぼすからです。近年では「乳児期の抗菌剤投与と幼児期以降のアレルギー疾患との関連」も数多く報告されるようになりました。

抗生物質治療の必要性を、より正確に判断するために

 ❷ 抗生物質治療の必要性を、より正確に判断するため

各種検査機器を導入しています

  • 微量の血液検査(数分で感染症の重症度評価)
  • 迅速診断キット(インフルエンザ、アデノウイルス、溶連菌、百日咳、マイコプラズマ、水疱瘡など)

検査の結果、細菌感染や重症の可能性が高いと判断される場合には、外来での抗生物質点滴治療を積極的に行い、肺炎などによる入院を可能な限り減らすよう努めています。

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